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1998 年度 実績報告書

ヘテロエピタキシャル層のひずみ緩和機構の理論解析

研究課題

研究課題/領域番号 10650074
研究機関電気通信大学

研究代表者

新谷 一人  電気通信大学, 電気通信学部, 助教授 (00162793)

キーワードヘテロエピタキシャル層 / 表面モルフォロジー / 臨界波長 / 臨界膜厚 / 表面ステップ / 分子動力学法 / 原子論的シミュレーション / 表面再構成
研究概要

1. 半導体ヘテロエピタキシャル層の表面うねりに対して、弾性異方性を考慮した線形安定性解析を行った。系の自由エネルギーは、表面エネルギーと弾性ひずみエネルギーの和で表されると考え、また、アニールの実験条件に対応して、体積一定の仮定を設けた。Si_<1-x>Ge_x/Si系に対する数値計算の結果から、(1)自由エネルギーの減少の度合いは、<110>方向のうねりより<100>方向のうねりの場合の方が大きく、<100>方向のうねりの方が実現しやすいこと、(2)Si_<0.82>Ge_<0.18>/Si系に対する本理論による臨界波長は444nmであり、実験値440nmと良く一致すること、(3)ミスフィット転位に対する臨界膜厚と表面うねりの絶対安定領域を境界づける膜厚を比較することにより、Ge含有分率が0.5より小さい場合にはミスフィット転位生成が、Ge含有分率が0.5を超える場合には表面うねりの形成が主たるひずみ緩和機構となることが明らかとなった。
2. 半導体ヘテロエピタキシャル層の転位の形成過程の一形態として、層表面のステップあるいはレッジがミスフィットひずみによって崩壊し、そこから転位が核生成するという説が報告されている。本年度はStillinger-Weberポテンシャルを用いた三次元分子動力学シミュレーションによって、Si/Ge系とGe/Si系の表面ステップと表面レッジに対して、この説の妥当性の検討を行った。シミュレーションの結果から、(1)ヘテロエピタキシャル層では、引張りひずみ状態より圧縮ひずみ状態の方が表面再構成を起こしやすいこと、(2)<100>方向のステップおよびレッジよりも層の結晶構造の変化の度合いが大きいこと、(3)一原子層の高さを持つステップで最も結晶構造の変化を起こしやすいのは、圧縮ひずみ状態にある<110>方向のS_Aステップであること、(4)Zimmerman-Gaoの結果とは異なり、転位の形成は見られないことが明らかとなった。

  • 研究成果

    (5件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (5件)

  • [文献書誌] Y.Obayashi: "Directional dependence of surface morphological stability of heteroepitaxial layers" Journal of Applied Physics. 84・6. 3141-3146 (1998)

  • [文献書誌] 佐瀬尚孝: "半導体表面ステップの分子動力学シミュレーション" 日本材料科学会平成10年度学術講演大会講演予稿集. 87-90 (1998)

  • [文献書誌] 大林克至: "ヘテロエピタキシャル層におけるひずみ緩和機構の解析" 日本機械学会第76期全国大会講演論文集(I). 98-3. 649-650 (1998)

  • [文献書誌] 菊地幸典: "半導体表面の分子動力学シミュレーション" 日本機械学会第76期全国大会講演論文集(I). 98-3. 651-652 (1998)

  • [文献書誌] Y.Obayashi: "Anisotropic stability analysis of surface undulations of strained lattice-mismatched layers" Materials Research Society 1998 Fall Meeting Abstracts. 43 (1998)

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公開日: 1999-12-11   更新日: 2016-04-21  

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