近年、傾斜機能材料のような粒子分散系複合体の開発が盛んとなった。しかし、この種の複合材の熱衝撃強度解析は、まだその緒についたばかりである。そこで、本研究では、円柱状、球状粒子分散系複合材を対象として熱衝撃破壊強度解析を行う。この研究は平成10年度より始められ13年度に完結する研究である。以下、本研究により得られた研究成果の要約である。 1. 粒子分散系複合材料の熱衝撃解析方法の確立 (a) 円柱状、球状粒子の熱衝撃加熱による熱応力の焦点化現象の解析 円柱状、球状粒子が衝撃的に加熱された場合、円柱状、球状粒子内の熱応力焦点化現象による熱応力波の波動現象を解析し、熱応力の焦点化による応力特異性を解明し、秋田大学で開催された国際会議ICMR98 AKITAで招待講演論文発表を行った。 (b) 一個の球状粒子を含む弾性複合材料における熱応力焦点化現象の解析 一個の球状粒子を含む弾性複合材料が衝撃的に加熱された場合、球状粒子内に熱応力焦点化現象が生じ、この熱応力波の波動現象のため、母材内に周期的な波動現象が生ずる。この現象を波線泳を用いて厳密に解析し、この研究成果は日本機会学会論文集に掲載された。 2. YAGレーザーを用いた球状粒子の熱応力の焦点化現象の実験的検証 透明なガラス製球状粒子試験片を作成する。次に、YAGレーザーにより、球状粒子に熱衝撃を加える。この熱衝撃による波動現象は、球状粒子の中心部まで達する穴に立てられた導波管先端の超小型AEセンサーにより計測され、コンピューターにより球状粒子内に生ずる熱応力の焦点化現象を実験的に検証した。この研究成果は日本機会学会論文集に掲載された。 以上により、平成10年度の申請内容は、ほぼ、達成される見通しとなり有益な研究結果が得られた。
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