研究概要 |
1. 粒子径の大きなSiC粒子強化複合材料に静的に応力を負荷した場合,疲労損傷として観察された粒子割れは認められず,母材部もしくは母材と強化粒子の界面近傍からき裂が発生する.き裂発生時には,応力ひずみ関係に若干の非線形が表れた. 2. 予ひずみによるき裂発生の後の疲労試験では,粒子割れは認められず,疲労による新たな発生位置は,母材部もしくは界面近格であった. 3. 疲労によるき裂伝ぱ過程においては,予ひずみを負荷しない材料と同様に,主き裂前方に粒子割れが若干観察されたが,多くは強化粒子を回り込むように伝ぱした. 4. 疲労き裂が強化粒子を回り込んで伝ぱするときのき裂伝ぱ速度は,他の領域におけるそれより速くなる.これは,予ひずみ負荷時に導入された強化粒子まわりの変形損傷であることが示唆された. 5. 予ひずみ材と,予ひずみなしの材料におけるき裂伝ぱ速度を,同一の応力拡大形数範囲で比較すると,微小き裂の伝ぱ速度の下限はほぼ同一であるが,上限は予ひずみ材の方が伝ぱ速度が高くなる.
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