研究概要 |
昨年度に引き続いて,イオン局在化分布を測定するためのシステムとしての市販の微小Pt電極(電極先端直径:20μm)および自作した微小Pt電極を保持時間50msの方形波を用いてアノードとカソード方向に分極することにより,同一電極を用いて塩素イオン濃度と水素イオン濃度分布を同時に測定できるChronoamperometric Mode測定とイオン選択性電極を用いて,局部腐食に伴うイオンの局在化分布を測定した。今年度は試料の電位を孔食電位に上げたのち、自然電位よりも高いある電位にまで下げ、ある一定時間保持することにより,任意の大きさの腐食ピットを作成する手法を新たに確立し,この腐食ピットを対象として、ピット内部および近辺のイオン濃度の測定を実施し,孔食内部ではイオンの局在化を生じていることを確認した。併せて,高強度鋼の一定持続荷重下のSCCき裂進展過程のAFMその場観察を実施し,表面で観察したSCCき裂の形状は内部で先行するき裂の影響を受けること,また,その影響は応力拡大係数が大きくなると小さくなることを示した。さらに,基本的腐食特性と動的応力下の応力腐食割れ特性を明らかにするため,超高強度ステンレス鋼,Ti-6Al-4V合金の低サイクルの大変動応力下のき裂進展特性に及ぼす環境と内部水素の影響について検討するとともに,腐食環境中におけるSiCウイスカ強化Al合金のき裂発生と強度特性に及ぼす組合せ応力の影響について検討した。
|