研究概要 |
イオン局在化分布を測定するためのシステムとして微小Pt電極(電極先端直径:20μm)を方形波を用いてアノードとカソード方向に繰返し分極することにより,同一電極を用いて塩素イオン濃度と水素イオン濃度分布を同時に測定できるChronoamperometric Mode測定が可能なシステムを開発した。これを用いて応力腐食割れの起点として極めて重要である腐食ピットの内部と外部の溶液性状(pH,Cl^-イオン濃度)を測定できることを確認し,孔食内部ではイオンの局在化が生じていることを示した。併せて,高強度鋼のSCCき裂進展過程のその場AFM観察を実施して,SCCき裂進展機構について考察を加えた。さらに,基本的な環境ぜい化特性を把握するために,高強度P/M系Al-Zn-Mg合金とTi-6Al-4V合金の低サイクルの大変動応力下のき裂進展特性について検討するとともに,SiCウィスカ強化Al合金のき裂発生と強度特性に及ぼす組合せ応力の影響について検討した。併せて,環境ぜい化損傷の初生過程を原子間力顕微鏡を用いて詳細に観察し,環境ぜい化損傷の初生過程の機構解明に原子間力顕微鏡が極めて有用であることを示した。
|