一般に膜構造物の設計には、形状解析、応力解析、そして裁断解析の3つの解析が必要であるが、従来これらの解析には有限要素法が用いられてきた。しかしながら、複雑な形状に対するメッシュ分割の手間、或いは歪んだメッシュの際に得られる応力の不連続性、精度劣化の問題は、形状、応力解析における有限要素法の問題点となっている。また裁断解析の際には、再び新たなメッシュ分析を実施している。このように従来のシステムはメッシュ分割の大いに依存している。この背景のもと、本研究の目的は、従来のシステムと比べ精度、効率性においてより優れた、非線形メッシュフリー法による空間膜構造物の仮想創成システムを開発することである。平成11年度における実績は次の通りである。 (1)前年度開発した測地線探索アルゴリズムを拡張し、種々の実用的な構造物(曲率の反転する構造、不連続面を含む構造)への応用も可能にした。 (2)新たにケーブル補強膜構造物の解析手法を提案した。本解析手法により、ケーブルのすべり摩擦を考慮した解析が可能になった。
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