研究概要 |
最適化の手法として遺伝的アルゴリズムを考える.これは本質的に並列性が高いため,並列処理が有効である.しかしながら,並列化における分散モデルによっては並列性が十分に上らない,あるいは並列性は上るが最適解の品質を高めることが出来ない,などの問題が残っている.こうした問題を解決するために並列性の高い新しいモデルを構築した.次に,遺伝的アルゴリズムの解の品質が交差率や突然変異率など多くのパラメータに依存することから,分散母集団モデルにおける各集団でのパラメータを広い範囲で変化させ,最適解が自動的に最適なパラメータを探すメカニズムを考えた. 遺伝的アルゴリズムの並列化に関する国内外の研究を調査し,構造システムの解析と最適化のために有用な方法を調査した.特に,分割母集団に関する研究と,パラメータの適応的決定に関する研究を重点的に調査した.次に,分散母集団アプローチによる分散並列遺伝的アルゴリズムを用いた並列計算機コードを作成した.8台のPentiumマシンにLinexをインストールし,これを高速のイーサネットでネットワーク結合し,Parallel Virtual Machineを用いて仮想的なバス型の並列計算機を開発した. 交差率,突然変異率などのパラメータの他,分散化にともなって新たに生じる各母集団個体数,移住率,移住頻度などのパラメータの影響を調べた.分散並列遺伝的アルゴリズムの各種のパラメータが最適解に及ぼす影響を調べたのち,各母集団が異なるパラメータを持ち,解自身が最適なパラメータを探索して移住するアプローチを提案し,そのアプローチに従う並列プログラムを開発し,二つのアーキテクチャの並列計算機上で数値実験を行った.これより提案するアプローチの有効性と有用性を確認した.
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