研究概要 |
これまでの生産システムにおける自動化技術は,少品種多量生産を念頭に開発されており,今後要求が高まるといえる変種変量生産や単品生産に対応することは難しい.その原因は,熟練技術者の持っている技能,特に感性に裏付けられたノウハウが充分に理解されておらず,具体的な加工システムに組み込めていないためである.そこで本研究では,感性評価方法の確立とそれに基づく一品生産システムの構築を目的とし,ロボットとセンサから構成された加工システムを具体的なネットワーク環境下で試作し,感性評価を行ないながらその機械に適した加工方法,加工条件を自律的に学習し,常に新しいものに対応できる生産システムの実現を目指している. 具体的な対象は,初期の木材装飾加工から粘土によるクレイモデルの製作に変更しているが,本質的には本研究遂行上なんら支障がなく,研究は次の二つの課題について当初の計画通り順調に進められている.(1) 感性評価手法の分析と加工技術との関連性の究明:手作業加工の分析を行ない,作業者が行なっている判断、評価の過程を整理するとともに,加工技術との関連性について解明を試みた.その結果,粘土特有の加工特性を明らかにするなど,新しい知見が多数得られた. (2) 感性評価における情報処理とその制御方法の確立:感性評価結果に対応する新しい情報処理方法を提案し,感性フィードバックが行なえる制御システムについて検討を行った.その結果,クレイモデル製作に適した加工パスの自動生成アルゴリズムなど新しい提案を行なうことができた. 以上のように,研究は順調に実施されており,継続して行うことにより,工学的にも工業的にも意義ある成果が得られるものと確信している.
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