研究概要 |
内径1mm以下の極細ステンレス鋼管の内壁面を精密に研磨するために,スラリーの高速流動研磨法を創案し,実験装置を設計・製作して本研磨法について,砥粒濃度,砥粒径,細管内径,スラリー注送圧力の影響などの検討を行い,研磨装置の性能に関して検討を重ねてきた.その結果,パス回数(スラリーの管内通過数)を増すにつれて素管内壁面の面粗さが次第に低減し,研磨装置は所期の性能を有することが明らかとなった. 研磨メカニズムに関して解析的に検討を行った.管内のスラリー流動状態を知るために平均流速を測定してレイノルズ数を求めた結果,乱流であることを確認した.さらに,管内での速度分布として乱流における1/7乗則を用い,細管内壁面の突起高さを考慮することによって,粗さの低減過程をシミュレーションして実験結果を説明できることを示した. 研磨後の細管に一定流量の窒素ガスを流し,その時の差圧(大気圧と管内を流れるガス圧力との差)を測定した.差圧と内壁面粗さとの間には密接な関係が見いだされ,仕上げの程度を差圧測定によって評価できることが分かった.さらに,差圧は管の内径にも依存するが,管径の違いによる差圧の違いを補正してやることにより,壁面の粗さと差圧との間に成立する普遍的な実験式が見いだされた.
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