研究概要 |
本年度は摩擦条件が最も顕著に影響すると考えられる超薄肉板厚板のしごき加工における摩擦挙動および薄肉化最適条件の検討を行い以下の結論を得た。 1.薄肉化のための試験装置として帯板U曲げしごき加工装置を作製した。一本の帯板を相対する位置にセットされた一対のダイス間に配置し、その中央にパンチを押込むことによって、U曲げされた壁部材料が同時にしごき加工が行われる。パンチに作用する垂直力Npと摩擦力Fpを直接分離測定することによって、パンチ面の摩擦係数を測定し得る。パンチとダイス間距離を小さくすることによってしごき率を上げ、薄肉限界が求められる。 2.試料として無酸素銅板C1020Pを被加工材として摩擦条件因子と薄肉化条件の検討を行った。 (1)しごき率10%,20%,30%を任意に組み合わせ、試料に複数回のしごき加工を施した結果、薄肉化限界は加工プロセスに依存しない。 (2)潤滑油粘度の相違による摩擦係数の変化は、1回のしごき加工では見られないが、複数回のしごき加工では見られる。油の高粘度化に伴い摩擦係数は低くなる。 (3)無酸素銅板にしごき加工をする際、しごき率や潤滑油を変えても破断直前の硬度は120〜130Hvの一定値をとる。 (4)いずれの条件においても加工後の試料表面に焼付き痕が見られなく、無酸素銅は耐焼付きの良い材料である。 3.被加工材の中間焼鈍と、極圧性潤滑剤を用いることにより、さらなる薄肉化が可能である。
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