研究概要 |
本研究は,砥石作業面の状態を適切に形成・維持することによって研削加工を最適化しようとするもので,(1)砥石作業面を機上測定できるシステムの構築;(2)加工目的に応じた砥石作業面の生成手法の開発;(3)砥石作業面性状の定量化;(4)砥石作業面性状のインプロセス測定;という研究計画からな.無気孔形超砥粒砥石およびビトリファイドアルミナ砥石を対象として行った平成11年度の研究成果を以下に示す. (1)触針式粗さ計(触針法)およびデジタルイメージスコープ(画像処理法)を研削盤の砥石ヘッドに装着し、機上にて砥石作業面を観測できるシステムを構築した。両者を精密回転ステージ上に装着することによって、同一部分の砥石断面プロフィールと砥石表面形態を比較測定することが可能になった。また、画像処理法では、テンプレートマッチングによる画像の連結処理を加えることによって、一度により広領域の観測が可能となり、連続切れ刃間隔や切れ刃面積率の測定精度が向上した。 (2)ニューラルネットワークを用いて,研削音あるいは研削振動のパワースペクトルから砥石作業面性状を認識することを試みた.すなわち,ドレス条件を段階的に変えて異なった状態の砥石(標準状態)を作製し,それらの砥石から発生する研削音や研削振動の特徴を識別することによって,実際の研削時における砥石作業面の状態を識別した.その結果、研削抵抗や仕上面粗さに明確な差が生じる程度に相違がある場合には,砥石作業面状態は比較的制度よく識別できた.しかし,本研究の最終目的である,チップポケット深さや切れ刃摩耗面積のわずかな違いを識別するまでには至らなかった.今後、ニューラルネットワークの識別アルゴリズムの改良を行う. 次年度は,測定の自動化および砥石作業面性状を表す各パラメータと研削特性との関係の同定を行う.
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