研究概要 |
産業廃棄物としてアルマイトスラッジとさとうきびの絞りかすであるバガスを用いて、プラスチックとガラス繊維を混合することによりBMC複合材料を作製し、射出成形と射出圧縮成形に適用した。まず、アルマイトスラッジに関しては、熱処理により、900℃で焼成したγアルミナ粒子を用いて、BMCにおけるスラッジ含有量を10〜40%の範囲において変化させ成形体の機械的性質を検討した結果、含有量40%においてガラス繊維束の解繊に効果を発揮し、収縮率の改善や機械的強度の向上に大きく寄与することが明らかになった。またバガスに関しては、粉砕後のバガスが針状を呈することから、バガス繊維をBMC複合材料として用いて成形加工した結果、バガス繊維の内部は空洞であることから、そこへプラスチック樹脂を含浸させることにより粘性の調節が図られ、また空洞部へガラス繊維が突き刺さることにより成形体の機械的強度は著しく向上することが見出された。 以上のことから,アルマイトスラッジやバガスは材料特性を生かした熱処理や加工技術を開発することにより、有用な資源と再利用することが可能であり、また大量生産に適する射出成形の工業材料としても有望である。本研究は、産業廃棄物の処理から工業材料への利用に至る一連のプロセス、すなわち生産システムの構築が可能であることを明らかにした。
|