研究概要 |
1.研究の背景と目的 複雑で微細形状の医療工具を安価にしかも安定して製作することを目的として,鍛圧加工と切削加工を複合させたシステムの開発を行っている.本年度は特に微細切削システムを重点とする研究が主体である. 2.鍛圧・切削複合加工システム 開発したシステムは鍛圧加工システムと微細切削加工システムからなる.鍛圧加工システムはマイクロタレット方式加工要素と回転金型打抜き要素から構成され,これは大変形部分の加工を分担する.さらに複雑で鍛圧が不得手とする部分を担当するのが微細切削加工システムであり,最小15μmの溝加工を可能とするものである. 3.微細切削加工システムの開発と微細切削機構の研究 本年度の最重要課題である.複雑形状部分の創成はエンドミルが一般的である.しかし,工具製作の観点から最小寸法は100μmが限界である.そこで,細い丸棒を斜めにカットした「はすかい工具」を開発し,当初の目的に供した.本工具を用いて15μm程度の超微細な形状の創成に成功した.この工具は加工性能をある程度犠牲にして微細化を優先させたものであり,従来工具に比べれば加工機構も相当異なると考えられる.こうした事情より,はすかい工具による切削機構について検討し,以下の結論を得た.はすかい工具による推奨切削条件は基本的には慣用工具の場合に準ずるが,切削性能が低いため,加工機械の剛性,材料保持に工夫が必要であること,切削における塑性変形成分が大きいので,バリ処理が重要であることが知れた.さらに加工面粗さの解析がなされた.さらにはすかい工具による切削で問題となるバリ処理方法についても併せ検討した.
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