研究概要 |
自律分散型生産システムを工作機械群,搬送機械群,自動倉庫,管理機械等のマルチエージェント・システムをモデル化する上で,搬送機械群の一つであるAGV(無人自動搬送車)はその空間的移動の自由度から重要な位置を占めている.前年度は,複数のAGVが工場内を自律的に意志決定を行い移動するとき,Q学習によって経路獲得を実施できることを示した.また,同時に複数のAGVが走行するときに生じる衝突及び追走が互いの行動を理解し合えるような通信プロトコルの獲得もQ学習によって実施できることを示した. 今年度は,前年度から得られた知見を基に経路獲得と通信プロトコルの知識構造をサブサンプション・アーキテクチャとしてシミュレーション上のAGVに組み込み,その数値計算実験を実施しOCR(作業達成率)からその結果を比較検討した.比較した方法は,(1)本研究で提案した学習によるAGVの搬送法,(2)経路獲得のみ学習結果を採用し衝突回避をランダムな行動とした方法,(3)経路は事前に行き先の方向ベクトルを与え,衝突回避をランダムな行動とした方法,(4)経路は事前に行き先の方向ベクトルを与え,衝突回避に通信プロトコルを与えた方法,の4種類である.実験結果では(1)と(2)が良好な結果を与えることが実証された.(1)と(2)ではわずかではあるが(1)が優れていることが示された. 最終年度は,工作機械のマルチエージェント化したときのモデルとそのときの工場内のシミュレーションを実施する予定である.
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