研究概要 |
歯車などの複雑形状部品を精度良く冷間鍛造できれば生産速度が極めて高まるため,その経済的効果は大きい.本研究は製品内外周部に共に歯形形状を有するような一層複雑な共有歯形部品の冷間精密鍛造の実現の可能性を検討しているものである.昨年度までにおいて,加圧する歯形パンチを縦分割型にして,段差加圧・空隙設定・平坦加圧を順次段階的に内歯側と外歯側に行えば,形状の良好な内歯外歯共有歯車を加工力を高めずに得られることが知られた.本年度は,素材形状も材料の型内充てんに影響を及ぼすものと思われることから,提案する上述の加工法における素材形状の効果について検討してみた.また,発想をさらに進めて,突起付き歯形パンチを用いることの効果についても併せて検討した.その結果,つぎのことがらが知られた.(1)素材の内径および外径側の上下隅角部に2mmの面取りを施せば,面取りを施さない場合よりも優位な型内充てんを実現させることができる.なお,素材の内径側のみの面取り2mmでも型内充てんは優位となる.(2)突起付き歯形パンチで単純据込み加工を実施すると内歯側が完全に型内充てんした半製品を得ることができる.(3)前工程に突起付き歯形パンチによる単純据込み加工を実施し,その後,突起による窪みを活用した分流鍛造を行えば,形状の良好な内歯外歯共有歯車が加工力および加工面圧を高めずに得られる.すなわち,2工程で内歯外歯共有部品の低加圧精密鍛造が実現できる.なお,成果報告が日本機械学会東海支部浜松地区講演会並びに第50回塑性加工連合講演会において行われている.
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