本年度においては、前年度に開発された工具運動経路自動生成プログラムを用い、所望の三次元形状を有する製品をインクリメンタルフォーミングにより創成する事を試みた。以下にその形状創成について記す。 1 インクリメンタルフォーミングによる薄板三次元形状製品の創成(張出し成形) 簡易型を用いて、被加工材の一部を拘束し、被加工材の形状と寸法精度を向上させるためのインクリメンタル張出し成形を実施した。簡易型を用いることにより、たわみ変形を除去し、寸法精度を向上させるとともに、良好な形状凍結性を有する三次元形状を持つ製品がインクリメンタル成形できることが見いだされた。そこで、つぎに、簡易型を積層した積層簡易型を用い、インクリメンタル三次元成形へと展開し、複雑な三次元形状の創成を可能にするとともに、積層簡易型をモジュール化することによって種々の形状を創成するための柔軟な成形がより可能になった。 2 インクリメンタルフォーミングによる薄板三次元形状製品の創成(深絞り成形の試み) インクリメンタル三次元絞り成形にも発展させた。張出し成形では変形が大きくなると、板の肉厚が薄くなり、製品の剛性が低下する。しかし、インクリメンタル絞り成形では変形の大きい部分に絞りを加えることによって製品の剛性と強度を増すことができる。円筒形状および角筒形状を持つ三次元インクリメンタル成形を試みた。
|