本年度に行った実験概要を以下に箇条書きに記す 1. 金属間化合物Al_3Niの傾斜した直径90mm、長さ90mm、厚さ20mmの厚肉円筒傾斜機能材料を作成した。この試験片のAl_3Niの体積分率を測定したところ、円筒外周のAl_3Niリッチ部で平均体積分率62%、円筒内周のAlリッチ部で25%となる傾斜組成であった。 2. 前記の円筒状FGMから厚さ方向に4層に分割した試験片を作成し、曲げ共振法にてヤング率を測定したところ、ヤング率は円筒外周から3.5、4.8、6.3、7.8mmの位置でばらつきはあるもののそれぞれ96、91、88、83GPaであった。 3. 室温から高温域での各層の試験片の変形抵抗を測定するため、熱間平面ひずみ圧縮試験ジグと圧縮ジグを600℃まで加熱できる電気炉を作成した。これらの装置を用いて、前記の4層分割試験片の各層の変形抵抗を室温、200、400、620℃にて測定した。全ての実験条件で、各層における変形抵抗の大きさに傾向は見られなかった。これは、圧縮試験片のAl_3Niの分散にかなりばらつきがあったことが原因と考えられる。室温、ひずみ0.1〜0.2における各層平均の変形抵抗は180MPaで、純Al試験片では70MPaであり、Al_3Ni分散による効果が確認できた。室温、200、400、620℃の各温度、ひずみ0.1〜0.2における各層平均の変形抵抗は試験温度が高くなるにつれて、180、120、55、15MPaのように減少した。 4. 平板化圧延におけるロール径、ロール周速の影響を調べるための4組の圧延ロールを作成し、圧延実験を行った。純Alの圧下力は3%の圧下率で約140kgf、5%の圧下率で約200kgfであった。Al-Al_3NiFGMの圧下力は3%の圧下率で約370kgfであった。FGM平板化に及ぼすロール径、ロール周速の影響については今後検討する予定である。
|