本年度に行った実験概要を以下に箇条書きに記す。 1.金属間化合物Al_3Niの傾斜した直径90mm、長さ90mm、厚さ20mmの厚肉円筒傾斜機能材料(Al-Al_3Ni FGM)を作成した。この試験片のAl_3Niの体積分率を測定したところ、円筒外周のAl_3Niリッチ部で平均体積分率52%、円筒内周のAlリッチ部で17%となる傾斜組成であった。 2.前記の厚肉円筒から厚さ6mm、内径54mm、幅20mmの円弧状FGM試験片を作成した。また、FGM平板化圧延における圧延モデルを検討するため、6mm厚さの純アルミニウム(A1050)板より内径82.5mm、幅20mm、長さ200mmの円弧状試験片を作成した。 3.円弧状純アルミニウム試験片の平板化圧延モデルについて、同径同周速・同径異周速・異径同周速・異径異周速の4つの条件で圧延実験を行った結果、同径同周速圧延では平板化圧延が不可能で、内接ロール周速の速い同径異周速圧延、内接ロール径の小さい異径同周速、内接ロールの周速が速く、直径の小さい異径異周速におけるいずれの場合も平板化圧延が可能であった。 4.前記3.の結果を踏まえ、Al-Al_3Ni FGMの平板化圧延実験を行った。このFGMは脆いため620℃に加熱して圧延したが、試験片がロールに凝着した。この凝着を防止するため、ロール表面にセラミックスをプラズマ溶射した。 5.Al-Al_3Ni FGM試験片の平板化圧延について、純アルミニウムと同様な条件で圧延実験を行った。同径同周速・同径異周速・異径同周速・異径異周速圧延におけるいずれの場合も平板化圧延が可能であり、平板化圧延における強度傾斜モデルと異周速モデルの有効性が明らかになった。FGM平板化に及ぼすロール径、ロール周速の定量的な影響については今後検討する予定である。
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