研究概要 |
本研究で行った実験・実験結果の概要を以下に箇条書きに記す。 1.遠心力法にて金属間化合物Al_3Niの傾斜した直径90mm,長さ90mm,厚さ20mmの厚肉円筒傾斜機能材料(Al-Al_3Ni FGM)を作成した。 2.前記の厚肉円筒から厚さ6mm,内径54mm,幅20mmの円弧状FGM試験片を作成した。 3.表面にセラミックスをプラズマ溶射したロールを用いて圧延を行ったが,圧延回数が多くなるとロール表面に試験片の凝着が見られ圧延できなかったので,セラミックス(パイロコート)を塗布したロールにより圧延を行い正常な圧延が可能であった。 4.同径同周速圧延,異径同周速圧延,同径異周速圧延,異径異周速圧延を円弧状均質材料と円弧状FGMについて実験を行った結果,均質材料については同径同周速圧延において平板化圧延が困難であったが,他の圧延形式では平板化圧延が可能であり,FGMについては全圧延形式において可能であった。 5.圧下率1,2,3%,異径同周速圧延した。圧下率1,2,3%のいずれの場合においても円弧状FGM試験片の断面形状の変化は圧延回数が増えるに従い曲率半径は大きくなった。 6.本研究の実験範囲において曲率半径と接触投影長さ比の関係を求めると,曲率半径は接触投影長さ比が約1.0〜1.3のときに無限大となり,平板に加工できる。 7.圧延後のFGM試験片の様相を観察した結果,試験片に割れは生じず,良好な圧延ができた。 8.圧延加工後の試験片の最終形状における試験片の圧延入口からの長さと曲率半径の関係を求めた。この形状変化の傾向を解析することにより平板化のシミュレーションができる。 9.したがって,平成10年度〜平成12年度に行った一連の研究において,圧延加工後のFGM試験片の最終形状の傾向は同じであり,上下ロールの最適制御により平板化できる。制御の手法・条件については今後のさらなる研究が必要である。
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