研究概要 |
初年度はベルトコードの屈曲疲労試験を行った.そして,曲げ剛性の疲労に伴う低下について実験データを得た.本年度購入した変位測定装置は,剛性測定のための試験で変位量測定に使用した.その結果,以下の知見を得た. 1. コード曲げ剛性は屈曲疲労初期から急激に低下し,最終的には50%程度低下した. 2. 疲労繰返数が10^6サイクルを超えると,曲げ剛性は一定値に漸近する傾向を示した. 屈曲疲労に伴うコード内部の破損形態を,光学顕微鏡および走査型顕微鏡を用いて観察し,以下の知見を得た. 1. コード内部にはストランド界面ではく離が発生していた.このはく離は疲労試験の初期に発生し,徐々に進展した. 2. その他に,一部のストランドでガラス繊維の破壊が観察されたが,その後その破壊が進展する傾向 はなかった. 3. 以上のことから,コード破損としては,ストランド界面のはく離発生を考慮することで十分であることがわかった. FEM解析においては,撚りコードのモデルを作成して,はく離発生に伴う曲げ剛性の低下を計算し,以下の知見を得た. 1. はく離が発生すると曲げ剛性は急激に低下した.その傾向は実験結果をよく説明した. 2. 剛性低下の割合は,ストランド界面に発生する応力の大きさに依存することがわかった. 力学モデルを用いた解析を行った.得られた知見を以下に示す. 1. ストランド界面に発生するせん断応力を解析し,はく離発生をそのせん断応力の解放としてモデル化した. 2. その結果,FEM解析の結果と良く一致する解析結果を得た.
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