研究概要 |
マイクロマシンに代表されるように,ミクロ化が今後の先端的研究の流れの一つになっている。問題は,そのための観測機器が整備されていないことである。現在ミクロ的なものを観察できるのは光学顕微鏡か走査電子顕微鏡(SEM)である。焦点深度の点からいえばSEMしかないが,観察視野が狭いことや試料の大きさに制限があることなど使い難い。高精度なレーザースキャナーが開発されればこの問題が解決される。ところで,高精度なレーザースキャナーを開発する上で一番の問題は,レーザー光線を如何に高精度に絞り込むかがある。すなわち,複数枚の光学ガラスを鏡筒に組み込む際に,如何に個々のレンズの軸心を合わせるかにかかっている。 本研究の目的は,申請者が考案したシュリンクフィッタを用いて,工学レンズ群を鏡筒に超高精度に接合する技術を確立することである。本年度は,光学レンズ群を締りばめしたときの変形具合を3次元有限要素法で計算した。そして,軸心がλ/2以上変形しな限界いシメシロを各レンズに対して求めた。次いで,その計算結果を基にシュリンクフィッタと鏡筒の寸法を設計し,製作を行った。シュリンクフィッタ材料としては,以前より使用しているポリイミドとアクリルを用いた。今回は室温のみで実験を行った。その結果,当初の目的どおりに走査幅30mmにわたってスポット径約6μmを得ることに成功した。さらに,分解再組立てを行った場合でも,安定したスポット径を得ることができた。従来接合法で組込んだ鏡筒でも実験を行ったが,このような優れたスポット径を得ることはできなかった。今後は,温度が変動する環境中でもこのスポット径が維持できるかを実験により確認する予定である。
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