研究概要 |
リバースエンジニアリングでは,既存の工業製品や部品の外形の測定データからコンピュータ内に形状モデルを作成し,そのモデルを利用してそれらの工業製品や部品の評価や再設計を行う.しかしながら,測定データはノイズ等により誤差が含まれているため,それらのデータからリバースエンジニアリングに必要とされる滑らかで高品質な曲線や曲面を再生することは困難である. そこで,本年度の研究では曲線の再生に研究の焦点を絞り,曲率の変動を抑制する性質を持つ単位4元数積分(QI)曲線により曲線を再生することを考える.最良な近似曲線を求めるために,点列とQI曲線との距離の2乗和を目的関数とし,その目的関数を最小化することによって最適化を行う.従来のQI曲線の定義法では曲線の長さを1つのパラメータとして与えたが,その定義法では曲率の大きな部分と小さな部分の混在に強い制限を与えるので,本研究ではより近似度を高めるためにQI曲線を1つのセグメントとし,複数のセグメントを滑らかに接続する.個々のQI曲線としてはBezier型QI曲線を用い,それらをG^1連続性(接線の連続性)を保証して接続することにより1本の近似曲線を算出する.本研究の手法ではノイズが強く混在している場合でも滑らかな曲線が得られる.
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