| 研究概要 |
本年度は,トライボシ一トの開発に関連する以下の研究を実施した.
1. 精密金型の製作
微細形状創成放電加工機の加工特性を詳細に調べることで,各電極直径での電極消耗率と消耗補正係数の関係が明らかとなり,微細金型の深さ方向寸法精度の向上が図られた.この研究成果は{11.研究発表}の1.に記載の講演会にて発表した.
2. EHL理論計算
接触表面の微細形状が弾性流体潤滑(EHL)に与える影響を実験と計算で調べた.油剤の流入を促すために設ける油溝は,流体潤滑状態への移行に重要な役割を果たしていることが実験の結果明らかとなり,また理論計算では接触面両端の微小くさびと接触面の弾性変形が油膜圧力を発生していることが明確となった.これらの研究成果は{11.研究発表}の2.〜4.に記載の論文として発表,あるいは発表予定であり,またトライボシ一トの設計に利用された.
3. 予備試験
微細形状創成放電加工の技術を基にして,金属薄膜に微細突起群を形成する金型を作成し,プレス加工で卜ライボシートを成形した.現在は高速精密ボール盤を改造した試験機で,このトライボシートの摩擦実験を行っている.金属シート材料としては銅箔を用いたが,アモルファス金属薄膜については前加工としての表面仕上に傾斜切削を試み,その研究成果は{11.研究発表}の5.に記載の講演会にて発表の予定である.
4. 実用条件試験
トライボシ一トの具体的な適用事例として冷媒圧縮用スクロールコンプレッサーが考えられることから,新冷媒環境下での摩擦試験を行った,すべり面にはスズメッキ,フッ化処理を施し,油剤不十分状態での潤滑特性を調べた.この研究成果はトライボシートの表面処理の指針を与えると供に,{11.研究発表}の6.に記載の講演会にて発表した.
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