研究概要 |
本研究では,S45C調質ローラに対して,まず種々の接触応力下で種々の電圧を印加した場合の,ローラ間電流の測定を行い,ローラ間電流に及ぼす接触応力,印加電圧の影響について検討を加えた.つぎに種々の電圧下において二円筒試験を行って,摩耗量,疲労寿命に及ぼす印加電圧の影響について検討を加え,印加電圧がある程度高い場合には摩耗量がかなり大きくなり,ピッチングに対する寿命もかなり小さくなることを示した.さらに各種電圧下におけるピッチングの発生状況についても比較・検討を行った 本研究により明らかになった諸点を要約すると次のようになる. (1)ローラ間電流は,静止時ではヘルツ応力σ_Hにかかわらず,各印加電圧V_oに対してそれぞれ一定になる.運転時では,Voにかかわらず,σ_Hの増加につれて,ローラ間に流れる電流が増大する傾向があるが,それぞれのV_oに対してσ_Hがある値以上になるとほぼ一定値になる.(2)ローラの摩耗量は,V_o≦10Vでは,ほぼ同じ程度であるが,V_o≧20VではV_oの増加につれて増大する傾向を示し,V_oが10V以下の場合には,摩耗に及ぼす電食の影響は少ないと考えられる.(3)疲労寿命は,V_o≦10Vでは,あまり変わらないが,V_o≧20Vでは,V_oの増加につれて短くなる.(4)ローラの軸方向断面形状のうねり高さは,V_oの増加につれて増大する.(5)ローラ表面は,V_oの増加につれて黒くなる.(6)損傷1個の面積は,V_oの増加につれて小さくなる傾向がある.
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