研究概要 |
宇宙用機器などでは,真空,高温などの極めて厳しい環境に曝される場合があり,トライボ性能の向上のため固体潤滑剤を中心とした種々の表面改質処理の適用が検討される.しかし,使用条件に応じてどの表面改質処理を適用すべきであるかに関して明確な基準はない.本研究では,改質表面の真空・高温環境下でのトライボロジー特性,運転性能に関して数値解析を含めた総合的な実験・解析を行い,実用化すべき表面改質設計法を提案することを目的としている. 本年度は,無潤滑大気圧下,ならびに10^<-4>Paかつ1000Kまでの高温・真空中で,テフロンライナ,ソリッドフィルム,ポリイミド系複合材,カーボン系複合材を中心とした高機能表面改質材のトライボロジー特性および性能評価を,その表面損傷との関連において調べた.その結果,各々の材料の摩耗メカニズムを検討するとともに,実機使用の可能性について考察した.また,改質表面の基礎的な摩擦・摩耗機構を調べる目的で,めっきを中心とした改質表面のトライボロジー特性を真空高温環境下でのリング-ディスク試験で調べるとともに,昨年度から開発を進めている表面トポグラフ解析プログラムを用いて試験片表面トポグラフの変化を解析し,開発プログラムの妥当性を検討した.一方,改質層の熱,応力評価については一部を除いて十分な検討を加えるに至っていないので,平成12年度には改質層の応力評価も含めた総合評価解析を実施する予定である.
|