研究課題/領域番号 |
10650154
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研究機関 | 崇城大学 |
研究代表者 |
石橋 彰 崇城大学, 工学部, 教授 (80037720)
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研究分担者 |
江副 覚 水産大学校, 教授 (30039292)
園田 計二 崇城大学, 工学部, 助教授 (50163142)
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キーワード | 歯車 / 負荷能力 / プラズマ窒化 / 熱処理 / 曲げ強度 / 衝撃曲げ強度 / 疲労強度 / 衝撃疲労強度 |
研究概要 |
昨年度までの研究で、ある種の高張力鋼を用いれば、プラズマ窒化による衝撃曲げ疲労強度の低下はかなり防止でき、浸炭鋼を用いて表面硬化した歯車と同等以上の強度が得られる場合のあることを実験的に明らかにすることができたが、理由はよく分からなかった。そのため、本年度では、日本の代表的鉄鋼メーカーであるS社とK社の高張力鋼を用いて、歯車を製作してプラズマ窒化を施して詳細な実験を行った。その結果、引張強さの同じ高張力鋼を用いても、衝撃曲げ疲労強度の低下は防止できない場合のあることが分かった。プラズマ窒化による表面硬化によってもたらされる衝撃曲げ疲労強度の低下は、硬化されていない芯部の材質劣化(脆化)が原因であるので、モリブデン(Mo)とバナジュウム(V)を全く含んでいない高張力鋼を用いても、この脆化を防止できないことが分かった。この他、クロムとマンガンの影響も考えられたが、高張力鋼以外の鋼でクロムとマンガンを含む鋼ではプラズマ窒化による衝撃曲げ疲労強度の低下を防止することができなかった。プラズマ窒化における衝撃曲げ強度の低下を防止するために必要なMoとVの最適添加量は明らかにすることはできなかったが、Moが0.3%、Vが0.04%程度添加されていれば、芯部の脆化防止には十分であることが分かった。 補足実験として、高張力鋼(炭素含有量0.15%)で製作した歯車を浸炭焼入れ硬化したところ、普通の浸炭鋼(SCM420)を用いた浸炭硬化歯車よりも硬化層の厚さも増加し、また衝撃曲げ疲労強度も著しく高いことが分かった。また、高周波焼入れで表面硬化した歯車も実用されているので、高周波焼入れ歯車とプラズマ窒化歯車の衝撃曲げ疲労強度を比較した。高張力鋼製歯車にも高周波焼入れを施したが十分の硬度が得られなかった。
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