流れのはく離を抑制するために、ジェットによる縦渦を用いた。縦渦は境界層と主流の強制混合を促進させ、境界層内に主流の大きい運動エネルギーを運び込む。これまではこのような縦渦を発生させる方法として固体の渦発生装置がしばしば用いられてきた。実際、航空機の主翼に設置し離着陸時の飛行性能の向上や、ディフューザに取り付けることで従来に比べ長さを短縮するこに役立っている。しかし、この方法では一定の状態の縦渦しか発生させることしかできなく、また、必要でないときには抵抗として働く。これらを改善する手段として、ジェットによる縦渦発生装置がある。必要なときに必要な大きさの縦渦を発生させることができ、付加抵抗も無い。 このように大きな可能性を持つ方法であるが、縦渦発生のメカニズム、縦渦が境界層のはく離を抑制するメカニズムについてはほとんど分かっていない。一番単純なはく離流れとして、片開きディフューザを用いて、この縦渦の振る舞いを調べた。ジェットのピッチ角、ジェット流速、ジェットの吹き出し方法(定常とパルス)、等を広い範囲で変えて、下流の主流に垂直な数断面について二次流れを熱線風速計で求め、縦渦の振る舞いを調べた。その結果、以下のことが明らかになった。 1. 発生させる渦の大きさだけではなく、その存在位置もはく離の防止に重要である。 2. パルスジェットによる縦渦は壁面に留まり、効果的なはく離防止効果がある。 3. ピッチ角の大小で、防止効果の持続する下流方向範囲、スパン方向防止範囲は異なる。
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