研究概要 |
本研究では、工学的に多く経験され、その解明が重要とされる流体関連振動問題の基礎研究の一環として、一様流中で流れ方向に強制的に振動する円柱まわりに発生する渦構造の特性を数値シミュレーションならびに実験により検討した。また、流体中の渦度をラグランジュ的に追従し、計算格子を必要としない三次元渦法の開発を行い、球まわりの流れの解析に適用した。本研究により得られた成果は、以下のとおりである。 (1)レイノルズ数Re=100、振動振幅比a/d=0.14、無次元振動周波数Stb=0〜0.48.について、流れ方向に強制振動する円柱まわりの流れの三次元解析を行った。後流に形成される渦横造はStb=0〜0.25で三次元性が存在すること、円柱の振動数の上昇に伴い、Lock-inが生じる直前の遷移領域で一時的に流れの三次元性は強まるがその後は弱くなり、Lock-in後はほとんど二次元的な流れとなること、Stb=0.48で、円柱から放出される渦の形態が交互渦から双子渦へと変化すること等が明らかになった。また、Stb【similar or equal】0.46付近では、交互渦放出と双子渦放出の二つの形態が交互に発生する遷移領域が存在し、そこでは、流れの三次元性が存在することも明らかになった。これらは、可視化実験によっても核確認することが出来た。以上よりLock-inが生じたり、放出形態が交互渦から双子渦へと変化する等の流れの状態が変化する際に、遷移領域が存在し、その領域では渦構造の三次元性が強まることが明らかになった。 (2)三次元渦法の開発を行い、球まわりの流れの解析に適用した。レイノルズ数Re=100,1000について計算を行った結果、後流がヘアピン状の渦構造となる(Re=100)ことやスパイラル状の構造となる(Re=1000)等の流れの特徴を、非常に良く再現することができた。また、球に働く流体力の特徴も実験結果を良く再現することも確認された。以上のことから、本研究により開発された三次元渦法は、複雑な三次元渦構造の解析に大変有効な一手法となることが確認された。
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