1999 年度実績報告書

相変化に伴う非定常流れのシミュレーション

研究課題

研究課題/領域番号	10650175
研究機関	鳥取大学
研究代表者	大西善元鳥取大学, 工学部, 教授 (40081228)
研究分担者	大信田丈志鳥取大学, 工学部, 助手 (50294343) 土井俊行鳥取大学, 工学部, 講師 (00227688)
キーワード	蒸発・凝縮 / 相変化 / 衝撃波 / 気体論 / 非定常運動
研究概要	平成10年度(初年度)から今年度にかけて、幾何学的には簡単であるが、熱交換機など熱・エネルギー輸送システム内の流れの模擬となっている矩形領域内での相変化による流れ問題をナビエーストークス方程式系とボルツマン方程式系に基づいて扱い、現象の理解と把握を目指しかつ工学的に有用な情報を得るよう努めてきた。具体的には、矩形領域の一辺が2ヶ所凝縮相、その他は固体壁となっている領域を考え、その第1の凝縮相を加熱して蒸発を生じさせる。直ちに、種々の波動(衝撃波、接触面、膨張波など)を伴った非定常な2次元流れ場が形成され、波動の伝播によって第2の凝縮相で凝縮過程を引き起こしつつ流れ場を最終状態へと推移させる。この推移過程と最終状態に対する数値シミュレーションを二つの支配方程式系、つまり、流体力学的定式化とボルツマン方程式系に基づいて行ってきた。現在、流体力学的定式化に基づいた数値シミュレーション結果の一部は既に第22回国際衝撃波シンポジューム(1999年7月ロンドンにて開催)で発表している。この流体力学的定式化に基づく数値シミュレーションプログラムはほぼ完成しており、今後この種の2次元問題の数値シミュレーションに非常に役立つと考えている。しかし、この方法と平行して、ボルツマン方程式系に基づく数値シミュレーションにもかなり力を注いできたが、未だ満足のゆくプログラム開発には至っていない。この問題は、空間的に2次元とはいえ、ボルツマン方程式は分子速度(3次元)を独立変数としてもつため、コンピュータの記憶容量と計算時間が非常に大きくなる。そこで、これらの難点を少しでも克服するため、今年度科学研究費で前処理用計算機システム1台を購入し、プログラムの改良・改善に努めてきたが、残念ながら未だ満足し得る結果が出ていない状況である。尚、発表論文件数は、機械学会発表4件、国際学会発表1件、国際誌投稿論文1件である。