研究概要 |
軸流圧縮機動翼列の翼端漏れ渦やプロペラファン動翼列の翼端渦の崩壊過程における複雑な非定常三次元流れ構造を数値シミュレーションおよび実験により解析し,渦の崩壊が動翼列の内部流動に及ぼす効果を調べた.その結果,以下のような知見が得られた. 中程度の負荷係数を有する軸流圧縮機動翼列の失速点近傍において,翼前縁近傍で形成された翼端漏れ渦は翼通路内でスパイラル形の崩壊を示す.漏れ渦のコアは時間とともに大きく変動し,隣接翼の圧力面と激しく干渉する.その干渉過程において,漏れ渦は圧力面境界層とリンクし,圧力面上に足を持った翼面に垂直な渦構造が形成され,この渦構造は下流へ移流しながら急速に減衰する.この干渉の結果,翼端近傍の圧力面前半部で極めて大きな圧力変動が現れる. 半開放形のプロペラファン動翼列では,翼端の50%コード付近で形成された翼端渦は,周方向に発達して隣接翼の圧力面にほぼ垂直に入射する結果,設計点においてすらスパイラル形の崩壊を示す.その崩壊に伴う翼端渦の大きな変動により,翼端渦が主流と干渉する領域で極めて大きな流れの変動が引き起こされる.また,崩壊を伴う翼端渦が翼面と干渉する領域で高い圧力変動が認められ,それは前縁剥離などに起因した変動よりも極めて高い.
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