研究概要 |
後傾羽根を有する遠心送風機の低流量域における旋回失速抑制に及ぼす部分的粗面化の効果を理論計算と実験の両面から追究し,以下のことを明らかにした. (1)後傾羽根遠心羽根車の低流量域における旋回失速の発生は,ハブ側壁面上の3次元剥離が主たる原因である.(2)半径比R=1.2から1.6の間のハブ壁面のみを部分的に粗面化することによって,送風機静圧上昇の低下を1%程度に抑え,かつ旋回失速初生流量を約42%低減した.(3)3次元剥離の抑制は,壁面摩擦力の増加によって境界層の捩れが顕著に減少することに基づいている.(4)壁面摩擦の増加による半径方向運動量減少量の増加が,滑らかな壁面の場合に近い半径方向圧力上昇を支える主たる要因である. インデューサ付径向き羽根遠心羽根車の失速限界を向上させるための入口循環流形成の効果を3次元乱流数値解析と実験の両面から追究し,以下のことを明かにした. (1)羽根前縁剥離の限界入射角はおおよそ7.4°であり,入射角がこの値以上に大きくなると羽根負圧面に剥離泡が発生する.(2)供試羽根車の場合,前縁剥離は羽根根元側にあって羽根先端側にはないから,循環流形成による失速改善は,いわゆる低エネルギ流体の喉部吸出しによる喉部剥離抑制効果よりは,主として入射角の減少による前縁剥離の抑制によって得られている.(3)羽根根元側に存在する前縁剥離泡の限界高さは2乗平均半径位置であり,剥離泡がこれ以上に増大すると不安定流動が発生する.
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