研究概要 |
円管の先端と円盤とで構成した薄い隙間から水を放射状に流出させ,層流境界層形速度分布を液面まで発達させた液膜を円盤周端から大気中に放出させてできる放射状自由液膜流れでは,高レイノルズ数において,液膜内部の変曲点型速度分布に起因して,層流から乱流への遷移が生じる.さらに液膜厚さを小さくし,レイノルズ数を増大させると,乱流遷移直後で液膜に多数の穿孔が生じ,液膜が微粒化することがわかった. 遷移位置付近を,スチールカメラによる拡大写真撮影,およびマルチパルスレーザとストリークカメラを用いた高速度写真撮影により詳細に観察した結果,遷移や液膜の穿孔・微粒化は以下のような過程で生じることがわかった. (1)同心円状のしわ状波(D波)の出現とその三次元化によるすじ状波の凹凸の形成 (2)凸部における微細粒状波(SL波)の集中的派生(乱流遷移)と粒状波の密集したすじ状は液塊部の形成.凹部の薄膜化による薄膜部の形成. (3)薄膜部における穿孔と孔の拡大.液塊部周辺の微小突起の分離による粒径数十ミクロンの液滴生成 (4)液塊部の数珠状液糸への変形と液糸の再分裂による粒径数百ミクロンの液滴の生成 (5)穿孔過程をLDV,熱線センサー,光センサーおよび写真撮影を同期させて同時に行うことにより,かなり明らかにできた.
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