研究概要 |
二次元対称な縮小拡大を伴う2分岐流路における流れの挙動およびモード変化特性を調べるため,実験装置を作成した.本実験装置では流れのモード変化に対応する流れの状態遷移を観測することを可能にした.本実験装置を用いることにより,アルミ粉縣濁法による可視化実験を行うことともに,流路代表点においてLaser Doppler velocimeter(LDV)により流速を計測し,流れの状態遷移との対応性を調べ,また流れの不安定性について詳しい検討を行った.一方,この分岐流路に対応した流れ場を理論的に調べるため,有限差分法を用いた数値演算プログラムの開発を行い,微分方程式の解の分岐の観点より流れの現象に対する数値シミュレーションを行った.これら本年度における研究の結果,拡大比(拡大流路幅/縮小流路幅)が3,アスペクト比(拡大流路での縦横比)が7/3において,流れはレイノルズ数Re=40において対称性の破れに起因するピッチフォーク分岐により非対称となり,Re=100において再び(逆ピッチフォーク分岐の可能性が示される)対称となるとともに,Re=400においてホップ分岐により振動流へと遷移することが分かった. これらの結果については,現在論文としてまとめるための検討を行っている.本研究の分岐流路の基礎を与える(比較対象としての基準を与える)単純急拡大-縮小流路での流れの挙動を数値シミュレーション及び流れの可視化実験より調べた結果は,既に本年度において公表済みである. さらに次年度は,本年度研究成果を基に工学的重要性が高い,いろいろな分岐形態に対する流れの挙動・物性について研究を行うとともに,数値演算プログラムの高効率化と多目的化にも取り組む.
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