研究概要 |
液状物質の境界としての界面モデルは,面積エネルギーをS_1,曲げエネルギーをS_2としたとき,全エネルギー関数をS=S_1+bS_2とすること,および,力学変数を指定することで定義される。 今年度は,(昨年度の)力学変数が3角形頂点の位置変数X,3角形分割gの2つであるような「液体界面」に関する研究に引き続き,力学変数が3角形頂点の位置変数Xのみであるような「結晶界面」について,モンテカルロシミュレーションの方法で「液体界面」との違いも含めて研究した。なお,面積エネルギーS_1,曲げエネルギーS_2としては昨年度と同じとした。その結果,曲げエネルギーS_2の揺らぎとしての比熱Cが,ある曲げ剛性値b=b_cのところで発散するということが分かった。その結果から,この「結晶界面」に2次の相転移があることを確認できた。現在はその結果を論文にまとめている。ただし,「結晶界面に関する2次相転移の存在」は従来の知見と同じである。 なお,昨年得られた「液体界面に関する2次の相転移の存在」という結果の詳しい内容はある欧文の学術論文誌に「掲載予定」である。この「液体界面に関する2次の相転移の存在」は,従来の定説を覆す第一歩であり,大きな意味がある。 現在までの研究結果の概要は,第5回分子動力学シンポジウム(平成12年3月4目,於静岡大学工学部)で講演発表した。研究結果の概要を一言でいえば,「表面張力と曲げ剛性を持っような膜は相転移を起こす」である。
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