研究概要 |
平成12年度は,平成11年度に引き続き,水蒸気-水系である実際の条件の代わりに,大気圧下における空気-水系を用いた実験を行った.本年度は,管内壁面上を流下する液膜が同じ管内に形成されている水平液面上に突入する際に巻き込む気体エントレインメントの特性が,壁面上を流下する液膜の特性と密接に関係していると考えられることから,流下する液膜厚さ分布を測定するための新しい実験装置の製作および液膜厚さ分布に関するデータ収集を重点的に行った.なお,実験装置は垂直管内壁面を流下する液膜の様子も観察できるように,アクリル樹脂で製作した. 液膜厚さ分布の測定は,内径が25mmのアクリル円管を用いて,液膜の流量が0.6〜1.0m^3/hの間で5種類の流量条件下で定電流法を用いて行った.なお,液膜厚さの測定位置は,流入開始位置がら1450mmまで50mm間隔の29箇所で同時に測定した. 昨年度,液膜突入液面下に形成される気体エントレインメント群の長さL_Bは,液膜の流入口から突入液面までの長さLによって異なり,Lが長くなるとL_Bは次第に長くなるが,ある位置で極大値をとって減少し,さらにLが長くなると再びL_Bは長くなりはじめるという現象がみられたことを報告した.本年度,平均液膜厚さおよび液膜上に形成される自然波の流下軸方向の変化を測定した結果,上述した気体エントレインメント群の長さが長くなる現象は,液膜の平均流下速度が増大することによる場合と波高が高くなった自然波による場合の異なった要因によって生じることが明らかにされた.
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