高速乱流制御のための燃料塊と乱流の相互スケールに関する研究

1999 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 10650194
• 研究機関: 北海道大学
• 研究代表者: 近久 武美 北海道大学, 大学院・工学研究科, 助教授 (00155300)
• 研究分担者: 菊田 和重 北海道大学, 大学院・工学研究科, 助手 (90214741) ; 望月 修 北海道大学, 大学院・工学研究科, 助教授 (50157830)
• キーワード: 拡散 / 乱流 / 燃焼 / スケール / 噴霧 / 空気導入 / 混合

研究概要

炭酸ガス排出量の削減目標を達成し、環境調和型都市を形成していくために必要な研究課題の一つとして、多くのエネルギー変換機で採用されている拡散燃焼の高度な制御法の開発が挙げられる。本研究は高速拡散燃焼において重要となる燃料魂と周囲空気との急速混合条件について、燃料魂と乱流渦との相互スケールに着目して解明を試みたものである。得られた結果を要約すると以下の通りである。
(1)初期燃焼を燃料過濃とし、燃焼後半に二次空気との急速混合を行うことによって、黒煙とNOxの同時低減が可能であることが示された。
(2)黒煙低減と強い相関を持つ無次元混合パラメータを明らかにすることができた。これは衝突噴流の運動量、噴流発生時期と期間、エンジン回転速度、および噴射量を含んだパラメータであり、黒煙の再燃焼可能な期間に噴射された噴流の運動量の積分値が高いほど、黒煙が低下することを示している。
(3)噴霧火炎に撹乱流を衝突させることにより黒煙の酸化が顕著に促進される様子が、直接火炎撮影および背景散乱光法による黒煙粒子の撮影で確認できた。また、主噴霧と撹乱流の最適相対距離を明らかにできた。
(4)不均一性の定量化手法としてエントロピー法を提案した。この手法によると、拡散状態の均一化に伴ってエントロピーが増大する傾向を明確に表現できた。
(5)拡散強度は対象とする流体塊のスケール以下の渦エネルギーの平方と渦スケールの積に比例し、エネルギーが大きいほど、また渦スケールが流体塊サイズに近づくほど拡散強度が強くなるものと予測された。
以上、本研究により高速拡散噴霧燃焼における急速混合のための条件をある程度明らかにできたものと言える。

研究成果

• [文献書誌] T.Araki: "Analysis of Major Parameters in Smoke Reduction with Turbulent Jets Aimed at Spray Flame in DI Diesel Engines"4th International Symposium COMODIA 98. 69-74 (1998)
• [文献書誌] 新城 崇: "高速二段ディーゼル燃焼法による黒煙とNoxの同時低減に関する研究(燃焼室形状操作、EGRおよび吸気予混合の併用)"日本機械学会論文集編. 65-632. 1491-1497 (1999)
• [文献書誌] 渡辺 芳彦: "拡散混合過程における不均一性の解析法"第36回燃焼シンポジウム講演論文集. 49-51 (1998)
• [文献書誌] 上野 正康: "非定常な噴流および噴霧の内部構造比較"第36回燃焼シンポジウム講演論文集. 590-592 (1998)
• [文献書誌] T.Kondo: "Turbulent Mixing for Effective Soot Reduction During Combustion Process"15th Internal Combustion Engine Symposium. (1999)
• [文献書誌] 牛田 博久: "高撹乱ディーゼル燃焼における最適噴流衝突条件に関する研究"機械学会1999年度年次大会講演論文集(VI). 99-1. 309-310 (1999)
• [文献書誌] 近藤 貴裕: "噴流衝突による噴霧火炎内黒煙の急速酸化"第37回燃焼シンポジウム講演論文集. 369-370 (1999)
• [文献書誌] 近久 武美: "噴流衝突による燃焼場の急速混合条件に関する研究"第37回燃焼シンポジウム講演論文集. 377-378 (1999)
• [文献書誌] 田中 賢一: "噴流衝突を受ける噴霧火災挙動の観察と乱流拡散に関する考察"機械学会北海道支部第29回学生員卒業研究発表講演会前刷り集. 125-126 (1999)
• [文献書誌] 村中 英樹: "噴流境界層内の拡散現象のミクロ構造と空気導入"機械学会北海道支部第29回学生員卒業研究発表講演会前刷り集. 71-72 (1999)