研究概要 |
独自に開発した噴射率形状可変形型燃料噴射システムを用いて噴霧燃焼実験を行い,燃料噴射率形状が非定常噴霧の燃焼に与える影響を明らかにすることを目的として,研究を進めた. (1) 噴射率形状可変型燃料噴射システムの構築:通常の噴射ノズルに高推力のピエゾアクチュエータを組み合わせる事により,100MPaまでの高圧噴射において,自由な噴射率形状が得られる噴射システムを構築した. (2) 1段噴射における噴射率形状の影響:三角形状の噴射率形状を持った1段噴射を対象として,最大噴射率,燃料噴射量,噴射期間を同一としたままで,燃料噴射率の上昇速度,降下速度及び噴射圧力を系統的に変更して噴霧・燃料実験を行った.噴射率形状が噴霧の成長・展開・着火・主燃焼などに大きな影響を与えること,また高噴射圧化に伴い噴霧の幅方向の成長が著しくなり,燃焼も大きく促進される事,さらに燃焼期間短縮の観点からの最適燃料噴射率形状は,噴射圧力により変化する事などを明らかにした. (3) 2段噴射における噴射率形状の影響:燃料の噴射を2回に分けて行う2段噴射においては,噴射間隔が2段目の噴霧の成長や燃焼期間に大きな影響を与えること,また2段目の噴射率形状によって,噴射間隔が2段目の噴霧・燃焼に及ぼす影響が異なることを明らかにした. (4) 周期的噴射率変動の影響:燃料噴射率に0-5kHzの周期的変化を与えた場合の噴霧の変化を実験的に調べ,新しい噴霧制御手法としての可能性を検討した.その結果,特有の周波数(本実験条件では,約0.9kHz,2.5kHz,4kHz)においてのみ噴霧角が大きくなり,噴霧の幅も広がることが明らかになった.また,振動を加えた場合にはパルス状に燃料液滴群が飛び出す事,また上記の周波数では液柱部分と推定される長さが,極端に短くなることを明らかにした.
|