研究課題/領域番号 |
10650211
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
河原 全作 京都大学, 工学研究科, 助手 (10201451)
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研究分担者 |
高橋 修 京都大学, 工学研究科, 助手 (40127098)
芹澤 昭示 京都大学, 工学研究科, 教授 (10027146)
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キーワード | ナノサイズ多孔面 / 熱・物質移動 / 分子動力学 / 陽極酸化膜 / 元素定量分析 |
研究概要 |
本研究は、ナノメートルサイズの多孔が形成されている物質の表面上での輸送現象について実験及び理論的な研究を行い、多孔の形成機構の量子力学レベルでの解明と、その知見に基づいた熱・物質移動の分子レベルでの制御を目的としたものである。本年度は、ナノサイズの多孔を有する表面の代表的なもののひとつである陽極酸化膜の多孔面を中心に研究を進めた。 まず第1に手がけたのは、多孔形成機構に関する理論的アプローチである。他の研究者によりすでに得られている孔のサイズと溶液の温度・濃度、印加電圧などのマクロパラメータとの関係についての知見をもとに、孔形成機構に関するミクロレベルでの理論構築のために、分子動力学シミュレーションコードを作成し、計算を行った。現時点では、古典的分子動力学レベルであり、今後、量子効果を考慮した古典的分子動力学法による解析、第1原理に基づく量子力学的分子動力学まで発展させる予定である。補助金により購入したコンピューター・画像処理解析関連の機器は主にこの数値シミュレーションに関して使用した。 実験面では、陽極酸化実験装置の製作と次年度に加速器によるPIXE元素定量分析を行うための予備的な計測、サンプルチェックなどを行った。次年度では、膜形成時における非平衡条件の影響と実際に多孔膜を用いた熱物質移動現象に関する実験を行い、熱物質移動の分子レベルでの制御に関する知見を得る予定である。
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