本年度の研究実施計画に従って、主に次の2種類の可視化観察実験を実施した。 1)感温液晶シートによる温度場の可視化観察 ガラス管製伝熱管(外径50 mm)にステンレス鋼薄膜発熱体(厚さ15μm)と感温液晶シートを貼り付け、管内側からマイクロカメラと鏡を用いて、感温液晶の発色(43.7℃〜48.3℃)を可視化し温度場の観察を行った。鏡の形状を楕円形状とし、同時に観察できる可視化範囲を管軸方向に8cm、周方向に120°まで広げた。又、発色の可視化ビデオ信号からニューラルネットワーク法により温度分布を計算し、定量的な熱伝達率分布を求めた。これらの結果からは、空気の相対湿度が増加(約60%→80%)し粒子間付着力が大きくなると、管周りの熱伝達率が低下し、分布の時間的変動が非常に緩やかになることが観察された。 2)レーザーライトシートによる管周りの可視化観察 透明なガラス管の内側から、レーザーライトシートを管軸に垂直に管表面に照射し管周りの粒子と気泡の挙動を可視化観察した。管外表面に蛍光塗料を塗布することにより管表面が明確に識別でき、粒子接触の状態、気泡の形状、粒子間付着力の増加により生じた粒子塊などが極めて明瞭に可視化観察できた。観察結果から気泡の接触時間割合などの管周りの分布を求めて、粒子間付着力が管周りの気泡および粒子挙動に与える影響を定量的に評価した。この可視化法は、管に接触する粒子挙動を直接観察するための優れた手法の一つであると思われる。
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