本研究の目的は、粒子間付着力の増加が水平伝熱管を有する流動層の全体的な流動状態に与える影響および、伝熱管周りの粒子挙動や熱伝達特性に与える影響を定量的に評価・解明することである。流動層のコールドモデルを用い、流動化空気の湿度を変えることによって流動媒体であるガラスビーズ間の液架橋による粒子間付着力を制御し、伝熱管周りの粒子挙動と熱伝達率の同時測定および流動状態の可視化観察によって、上記の目的を実験的に達成することを試みた。 主要な実験方法は次のようである。◇伝熱管上の粒子挙動(接触粒子の濃度と速度)を光ファイバープローブで捉え、熱伝導逆問題解析の手法により極細線熱電対を用いて、同じ位置で同時に局所熱伝達率を測定する。◇ガラス管製伝熱管を用いて、管に貼り付けた液晶シートの発色を管内部からマイクロカメラで観察し、色分布から温度分布をニューラルネットワーク法で計算し、熱伝達率分布を求める。◇管内部から、レーザーライトシートを照射し、管内部からマイクロカメラを用いて管外表面に接触する粒子を可視化する。得られた主要な結果を要約して以下に示す。 ◇粒子間付着力の増加による熱伝達率の低下は、主に、管底部や側面では空隙率の増加から、管頂部では接触する粒子の移動速度の低下に起因する。◇伝熱管周りの平均熱伝達率に及ぼす粒子間付着力の影響は、層の圧力損失から求められるチャンネリング指数を用いて表すことができる。ガラス製伝熱管による可視化観察からは、◇粒子間付着力が増加すると、伝熱管上の熱伝達率分布の空間・時間的な変動が小さく緩やかになる。◇気泡の接触時間割合は管頂部で低く、管底部で高く、側面では両者の中間的な値となる。◇管内部からレーザーライトシートを用いて可視化する手法は、粒子と気泡の接触を明確に識別でき、光ファイバーによる方法と共に今後の流動層研究の進展に大きな武器となるであろう。
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