研究概要 |
本研究は,微小重力下における乳化燃料液滴の燃焼時の火炎構造を数値計算手法を用いて明らかにするものである。当初の計画に従い,本年度は下記の2点について検討を行った。 1. n-ドデカンをベース燃料に用いた水中油滴型乳化燃料液滴の球状火炎を対象として,火炎内の温度場および各種化学種の濃度場を以下の手順で求めた。 (1) 球状火炎の半径方向を,非定常球対称一次元問題として取り扱い,熱および物質移動を求めるための計算コードを作成した。基礎式は質量,運動量,エンタルピの保存式であり,離散化は差分法によって行い,解法にはSOR法を用いた。 (2) 各半径位置における化学種濃度を求めるための計算コードを作成した。ここでは,特に,計算の効率化のためOH基およびNO生成に関連した素反応に着目し,それらに関連する素反応を選択して計算を行った。 (3) (1)および(2)の計算コードを組み合わせることによって,球状火炎内の温度場,化学種濃度分布を求める計算コードを作成した。 2. 微小重力環境下での実験結果より得られた液滴燃焼時の燃焼係数および火炎への添加水分供給量の予測値を境界条件として,上記球状火炎内の温度分布,NO分布,○H基分布などを求めた。 その結果,乳化燃料液滴燃焼時における火炎構造への添加水分の影響を明らかにすることができた。 これらの結果は,平成11年10月に上海市(中華人民共和国)で開催されるThe Fifth Asia-Pacific International Symposiunm on Combustion and Energy Utilizationにおいて発表(概要応募にて発表受理済)の後,関連学会の論文集に公表の予定である。
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