研究概要 |
ねじりテープの管内への挿入により,ポストドライアウト域を含む高クオリティ域熱伝達を促進させ蒸発管長低減に寄与するために,本研究では効果的なテープの形状や挿入方法を広範囲の条件に対して検討できるような噴霧流域の気液二相状態を模擬可能な数値モデルの開発を目的としている. 本年度は主として,ねじりテープ挿入管の伝熱特性を把握するために実験を行った.試験液体としてHCFC123を使用した垂直上昇流(質量速度50〜300kg/m^2s)ならびにHFC134aを使用した水平流(質量速度100〜600kg/m^2s)の管内流沸騰熱伝達および圧力損失の実験を行い,以下の成果を得た. 1. 垂直上昇流および水平流ともに平滑管の伝熱特性ならびに限界熱流束と限界クオリティの関係は,本研究者らがこれまでに得ている実験結果と同じ傾向を示すこと. 2. 内径10mmの管内に幅10mmのステンレス製ねじりテープを挿入した垂直上昇流のポストドライアウト域熱伝達は,平滑管の場合に比べ促進されること.その促進割合はドライアウト直後が最大で,蒸発の進行とともに減少していくこと,またテープねじり比の減少とともに単調に増大し,実験条件の範囲内ではねじり比5.5のドライアウト直後で最大50%程度であること.テープ挿入管の圧力損失は,平滑管に比して最大60%増大する場合があること. 3. テープ挿入により,ドライアウト点近傍では,垂直上昇流においても管周方向の温度分布が大きくなること.一方,水平流ではテープ挿入により気液の層状化が妨げられる効果により,低流量域で管頂部のドライアウトが遅れる減少が生じること. 4. 本研究で得たHCFC123およびHFC134aに対するポストドライアウト熱伝達の実験データは,噴霧流域における数値実験モデルの開発を行う際の基礎的かつ有用なデータとなること.
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