研究概要 |
ねじりテープを管内への挿入により,ポストドライアウト域を含む高クオリティ域熱伝導を促進させ蒸発管長低減に寄与することを目標とし,テープの効果的な挿入方法を検討可能な噴霧流域の数値モデルの開発を目的とした研究を行った. 本年度は最終年度にあたり,水平溝付管のポストドライアウト域における伝熱特性を得る実験を行い,蒸気の旋回流による伝熱促進効果をねじりテープ挿入管の場合のそれと比較し,考察を行った.さらに,噴霧流域の数値モデルを開発するために,以下の研究を行った. 1.テープ挿入による蒸気の旋回流が伝熱促進に及ぼす効果を考察するために,回転体における熱伝達に関していくつかの知見を得た.その中で,円筒表面にフィンを有した場合でも,フィン高さが直径の0.05倍以下であれば,フィンがない場合と同様の傾向,即ち熱伝達係数が回転数の0.7乗に比例することを明らかにした. 2.気液界面における相変化を考慮したVOF法による液滴熱伝達の数値シミュレーションを試みた.すなわち,気流中に存在する単一液滴が伝熱面に衝突し,伝熱面から非定常熱伝導によって液滴へ熱が伝わる伝熱モデルを提案し,計算を行った.その結果,単一液滴に対する最も簡単な数値解析においても,境界セルにおけるF関数の決定が従来の手法では困難なこと,液滴が付着してから蒸発開始までのシミュレーションは可能になるが,液の浮上に対する適切な条件が見出せず,従って,従来の液滴熱伝達予測式との比較までには至らなかったこと,今後は液の浮上に対する計算方法の確立とともに,その検証のための実験データが必要であること,を明らかにした. 3.管壁温度分布の面的な把握を簡便に行う方法として,不可逆性感温塗料の管外壁への塗布による方法を提案するとともに,可能性を実証した.
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