研究概要 |
乱流拡散火炎は広く工業的に用いられており,地球環境保全のために低エミッション化ならびに燃焼の高安定化・高負荷化が強く望まれている。本研究では,多数の光半導体素子を用いたシステムにより燃焼場の複数の測定点で燃焼温度とガス流動を同時に計測し,温度と速度の乱れの3次元空間相関を解析することにより乱流拡散火炎の構造を明らかにしようとした。 (1)燃焼温度とガス流速の乱れスペクトルの計測 2色法(波長:800nm,950nm)を原理とする光ファイバー温度計(OFT)と半導体レーザ2焦点流速計(L2F)の信号処理系を統合し1台のパーソナルコンピュータに同時にデータを取り込むシステムを構成した。基礎実験として,L2Fにより得られた流速データをカルマンフィルタにより誤差修正し,相関スロット法を用いて乱れスペクトルを求めた。この結果を熱線流速計による計測結果と比較し,乱れスペクトルの高精度計測が可能であることを明らかにした。 (2)噴流拡散火炎基部流動の計測 出口内径5mm,リム厚さ2mmの円形ノズルにプロパンを供給するとともに周囲空気を同軸で流し,同軸噴流拡散火炎を形成した。L2F用シーディング(球状SiO_2、粒径1μm)をプロパンと空気にそれぞれ混入した実験を別個に行い,付着火炎および浮上がり火炎における燃料噴流と周囲空気の流動を調べた。浮上がり火炎では基部におけるエントレインメントが多く,このことが火炎全体のエントレインメント増大の要因と推定された。さらに,OFTによる火炎温度ならびにすす濃度の測定から,輝炎発生率と周囲空気のエントレインメントに相関があること,また浮上がり火炎では輝炎発生率が低くすす濃度が低くなることを明らかにした。
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