研究課題/領域番号 |
10650220
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研究機関 | 琉球大学 |
研究代表者 |
長田 孝志 琉球大学, 工学部, 教授 (70045186)
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研究分担者 |
工藤 鴻基 株式会社トップエコロジー, 研究職
儀間 悟 琉球大学, 工学部, 助手 (60274883)
野底 武浩 琉球大学, 工学部, 助教授 (80183903)
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キーワード | 海水淡水化 / 太陽熱 / 蒸留 / 多重効用 / 熱・物質伝達 |
研究概要 |
本研究は、申請者らの研究室で考案された、Basin部と多重効用部を併せ持つ、新しいタイプの複合型太陽熱海水淡水化装置の開発を目的としている。1999年度は、多重効用・Basin複合型太陽熱海水淡水化装置を改良のため、設計および操作パラメータの蒸留量への依存性を数値計算により明らかにするとともに、その結果を参考にして、小型の装置を設計・製作し、蒸留収量の向上を試みた。 数値計算は、Basin部底面の水盤、バルク空気、ガラス板、多重効用部の各仕切り板についての熱収支式群をたて、それらをコンピューターを用いて繰り返し法により解くことにより、各部の温度、蒸発・凝縮量を算出した。日射量は、測定した水平面全天日射量をもとに直達および散乱日射量を算出して用いた。その数値計算により、Basin部のガラス窓の角度の最適値は30〜45°であること、Basin部の海水量を最小にし、多重効用部の各段の仕切り板間隔を狭くすることにより、蒸留収量が大幅に向上することを明らかにした。 Basin部蒸発面積4.5m^2(ガラス窓傾斜角度35°)および1m^2(40°)の2つの装置を製作し1999年8月から2000年1月にかけて屋外実験を行った。日の出前にBasin部の水盤に深さ10mmの原水を注入し、各仕切り板のウィックには、一年で最も蒸発量の多い冬至の最高日射量時の蒸発量の2倍の流量で原水を連続供給した。多重効用部の仕切り板間隔を10mmから5mmにすることにより、蒸留収量が約20%向上し、また、多重効用部の仕切り板を8枚から11枚へと3枚増やすことにより蒸留収量が35%向上することを実証した。その結果、従来のBasin型に比較して約4.5倍の蒸留効率を得られることが分かった。
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