平成10年度に引き続き、火花点火におけるフランジ付き電極の火花間隙部近傍の乱れ抑制効果と、容量放電時に発生する衝撃波に費やされるエネルギーの回収効果を以下の二つの手法で検証した。 先ず、本研究者らが提案したフランジ付き電極の乱れ抑制機構ならびに衝撃波エネルギー回収機構が、普遍的な物理的現象に基づくものであることを確認するため、火花点火に代えてレーザーの熱エネルギーを利用した点火実験を実施した。これはパルスNd-YAGレーザー光を対向するフランジの中心部に集光させ、その高密度熱エネルギーで点火させる実験であり、火花点火と同様に強い衝撃波が発生する。本実験の結果、平成10年度に実施した火花点火実験と比較して乱れ生成装置、点火装置および火炎核成長形態の差異はあるものの、基本的な物理現象は極めて類似しており、フランジの乱れ抑制および衝撃波エネルギー回収機構は普遍的な現象であることを確認した。 さらに、フランジ付き電極をガソリン機関等の実機に応用することを念頭に置き、市販の点火プラグにフランジを装着加工して火花点火実験を実施し、衝撃波エネルギーの回収効果と火炎核からフランジへの熱損失の相互関係を検証した。本実験は静止混合気場における実験であり、実機の乱れ場とは異なるが、衝撃波の伝播速度が極めて高く、エネルギー回収効果の検証には大きな影響がないと考えている。実験結果では、大幅な最小点火エネルギー低減が実現し、実用型点火プラグにおいても提案の効果が実証された。 以上の成果は平成11年の第37回燃焼シンポジウで発表している。
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