研究概要 |
物体を真空中で放射冷却させ冷却曲線(時間-温度曲線)を得る.この冷却曲線より得られる情報より物質の比熱や全半球放射率を求める測定法が非定常熱量法である.金属のような熱拡散率の大きな物質は試片の温度分布は一様になり,この測定法を問題なく適用できる.しかしガラスのような非金属の物質に非定常熱量法を適用するとなると試片内に大きな温度差が生じ,測定精度に悪い影響を及ぼす.本研究の目的は非定常熱量を用いて(1)比熱と全半球放射率以外に熱拡散率をも求めることができないか?(2)どうすれば非金属にも適用できるか?と言う事を見い出すことである.1998年度では加熱途中の昇温過程で熱拡散率を求める事が可能であることを実験的に示した.次頁のInt.J.Thermorphy.に公表したのがこの研究結果である.次に温度分布の問題に取り組み,パイレックスガラス試片内の非定常三次元温度分布をコンピュータで求めた.その結果試片内の温度分布が時間とともにどのように変化するかを見い出した. またガラスのような透明な物質は厚さにより放射率が変化するのでその事についても半理論的に考察した.その結果指向放射率と天頂角の関係,パイレックスガラス隅部の放射率の急激な減少などが計算で示す事が出来た.この事は次頁に示した第5回アジア熱物性会議で発表した.1999年は実験を主体にした研究を進めたい.
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