研究概要 |
本研究では高齢者の健脚度の評価法として、仮想現実空間によって創成された自然環境の中での自然な歩行状態に着目し、その歩行パターンを脚部のみならず臀部、さらには体全体のねじれや横揺れにも注目して2台のカメラで三次元的に捉える。それを多次元信号処理及び画像処理を行い、年齢別及び性差別に健常者の健脚度に関する特徴を抽出する。そしてまず年齢とは無関係に性別毎に、健康な人の健脚度の恒常的特長とはいかなるものかを探し出す。次にそれを基準として、健常な高齢者とそうでない人さらにはリハビリ中の人等との特徴比較を行い、その違いの特異性を見出す。そしてそれらの結果を踏まえ、生活の一部である自然の歩行に着目した無負荷による健脚度の評価法を確立することを本研究の目的としている。 そこで 1) 歩行状態の測定の分解能を上げるため、ワイヤフレームモデルの測定点数を多くし、実験的に測定の精度をまず確認した。それを二次元モデルで近似した歩行式についてコンピュータによりシミュレーションし、測定点間のリンクの動きとして捉えた。 2) 本年度は、主に自然の風景等を用いた視覚的仮想現実空間として現実験室に草花を飾りかつ山の風景写真を貼り付けて,擬似的自然環境を創生した.また歩行パターンの三次元測定のため、2台のビデオカメラによる最適な特徴抽出のための測定位置のレイアウトを、代表的な健常者数人の被験者により実験的に構築した。 3) これらの環境下で既存の自動歩行システム(トレッドミル)を用い、その歩行速度を変え、まず 男性健常者について正面、側面、及び真上からの歩行パターンを抽出した。そして男性健常者にあっては、脚の健康状態というのはいかなるパターンを示すのか、またいかなる点に特徴があるのかを見出した。
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