本年度は特に、異方性積層構成を有し、内圧を受けて回転するタイヤの強制振動応答解析を行うための基礎となる解析手法の開発を行った。すなわち、厚肉な一般軸対称殻にも対応出来るように、一次せん断変形殻理論に基づくせっ頭円錐殻要素を用いた有限要素法により、内圧、軸圧縮応力、せん断応力(トルク)の三種類の初期応力を受けながら回転する異方性積層殻に衝撃力が加わる場合の過渡振動応答を解析するための手法を定式化し、プログラムを実際に作成した。そして肉厚が十分薄いせっ頭円錐殻及び部分球殻の大端部にステップ関数状及び半波正弦波状集中衝撃荷重が加わる場合について申請者が過去に行った古典殻理論に基づく解析結果と比較することにより、そのプログラムの妥当性の確認を行った。ついでそのプログラムを用いて厚肉な異方性積層構成を持つせっ頭円錐殻及び部分球殻に衝撃入力が加わる場合について解析し、その解析結果を物理的洞察に基づいて考察してタイヤ構造の強制振動を解析するのに十分有効な手段となり得ることを確認した。さらに、等方性材料を仮定して内圧、軸圧縮応力及びせん断応力(トルク)が加わる両端固定のせっ頭円錐殻及び部分球殻に衝撃集中荷重が加わる場合の解析を行って、内圧を受け転動するタイヤ振動を解析するための基礎的検討を行った。平成11年度は、これまでに開発したプログラムに減衰の影響を組み込み、さらに変厚一般軸対称殻が分布荷重あるいは変位拘束を受ける場合の定常振動応答解析が可能となるように解析手法を拡張し、転動タイヤの振動解析を実際に行って、放射される音圧を予測するための境界要素法による解析の境界条件をどのように与えたら良いかの物理的検討を行うことを第一義とする予定である。
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