本年度は昨年度開発した、一次せん断変形理論を用いた有限要素法に基づく、内圧を受けながら回転する異方性積層一般軸対称殻の過渡振動応答解析法に減衰の影響を組み込み、定常的強制振動応答を解析出来るような定式化を試み、さらに変厚の影響を考慮出来るようなプログラムを作成した。すなわち、減衰の組み込みについては、実測値として与えられるのはタイヤの非回転時のモード減衰比であることから、非回転時の固有ベクトルを用いてモード減衰比から原方程式系の非回転時減衰マトリツクス[C]を導き、この[C]にジャイロ効果による項を加えて[C_G]を作成する。さらにこの[C_G]を用いて原方程式系を状態空間表示し、1階の連立微分方程式系に組み換える。ここで得られるマトリックスは一般に非対称マトリックスであるので、右固有ベクトルと左固有ベクトルを用いてモード解析を行い、高次モードを省略し、強制力が加わった時の定常応答を求めるプログラムを作成した。さらにこれを実際の転動時タイヤの定常応答解析に適用する前段階として、回転円筒殻の場合に適用し、この結果を視覚化して表示するプログラムを開発したところである。 平成11年度中に、地面に接地しながら転動するタイヤそのものの定常的強制振動応答解析結果を得るまでには至らなかったが、その基礎はほぼ固まったと考えてよく、数値解析上の難点と当初考えていた減衰の組み込みとモード解析を利用した高次モードの省略の問題はクリア出来た。現在実際に転動しているタイヤそのものの振動解析に鋭意取り組んでいる。
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